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気ままなコーチのテニスショップ 大岡山のフレスコテニスショップをやっているテニスコーチ稲垣のブログです。

天才はフライパンでボレー

ラケットやストリングにこだわりを持つプレーヤーと無頓着なプレーヤーの話が続きますが、今日は僕が尊敬し秘かに師と仰ぐある元プロ選手の話です。

その方は全日本のダブルスファイナリストで、とにかくもうみごとに完全なテニスの天才と言うべき実力の持ち主です。

もう現役を引退されて僕と同じスクールにいたのですが、たとえば僕が中級クラスのレッスンしていてそのプロがとなりで上級クラスのレッスンをしているとします。

とちゅうで僕のクラスの生徒さんたちが練習を中断して、隣のプロコーチがプレイする様子に見入ってしまうんです。

それで僕は仕方ないなと思いながら、自分でもどれどれと見てみると確かに自分のコートの練習を忘れてしまう華麗なテニスです。

僕はその元プロはテニス界の長島茂雄のような人だと思います、だからここからミスターと呼ぶことにします。

ある時、我々のテニスクラブにストリングマシンが導入されて、それまで自分でストリング張りなどやったことのないミスターが興味を示して張り替えにチャレンジし始めました。

ストリングの張り替えは初めてではないのですが、最新式のマシンを使って張るのは初めてで正直あまりお上手とはいえませんでした。

しかし、元プロはたいへんにストリング張りが気に入ったようで自分で張り替えをするようになりました。

そんな頃に僕はプロとシングルスゲームを何度かやりましたが、サービスもグラウンドストロークもボレーもほとんどライン上に狙って入れてくる天才選手にはいつも負かされ通しでした。

そしてあるとき試合後にベンチに座ってミスターのラケットを何気なく手にとって見てみると、一番上のクロスストリングが張ってありませんでした。

「あぁ、そこねそんな上まで張ると思わなかったからその下のところで終わって切っちゃったんだ」とニコニコしながら言うのです。

それを聞いて僕は内心で(こんな大切なところのストリングを張っていないラケットであの神技ショットを連発したのか
!?)と驚きました。

いやーいままでご紹介した人たちは一応きちんと張り上げられている状態でのこだわりがあるとかないとかでしたが、このミスターときたらそんな次元ではありません。

「ストリングの張り方がどうだのこうだの、1本か2本抜けて張り上がっている?いいんじゃないのそのくらい、調整して打てば大丈夫だって!」と言うでしょう。

昔テレビの実験番組であるプロテニス選手が「フライパンで初級者相手にテニスして勝てるかどうか」というのを見たことがあります。

確かプロは簡単にその初級者に勝ってしまったと記憶しています。

やはり天才には道具などどうでも良いんでしょうね、ちなみにそのフライパンで戦ったのは全日本7回優勝のあの方でした。
日記 | 投稿者 fresco 02:33 | コメント(1)| トラックバック(0)
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コメント
まさに「弘法は筆を選ばず」ですね。でももし弘法が筆を選んでしまったら、きっとウィンブルドンで優勝ですね。もったいないですね。


投稿者 Tennisnakama 2008/08/08 04:11
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