2010年08月14日
春秋苑の幻
夏になると怪談とか恐い話なんていうのをよくテレビなどでやっていますが、僕も真夏のテニスコートでちよっと不思議な体験をしたことがあります。
僕には小学校以来、兄弟のように仲の良い友達がいてそのお母さんにも実に良くして貰っていました。
それで彼の家に遊びにいくとよく「テニスはどう、試合に出ているの?」とあまり運動で活躍しない息子の代わりを求めるかのようにそのお母さんから聞かれ「いつか試合を観に行きたいから教えてね」なんて言ってくれることもありました。
僕はその友達のお母さんがそう言ってくれたのをとても感謝していました。
そんな優しい小母さんが病気で入院されたと聞いたのは僕がよく試合に出ていた30歳の夏のことでした。
お見舞いに行かなくてはと思いつつテニスに明け暮れて、病院があまり好きではないこともあってなかなか足が向きませんでした。
電話で友達に様子を訊ねると暗く沈んだ調子で「あまり良くないみたい、特にこの暑さで弱っているよ」と答えました。
そんなやり取りをしてすぐくらいに出場したテニスの試合は真夏のうだるような暑さのなかでの戦いでした。
相手のサービスゲームで僕はレシーブの構えに入ろうとして向かい側に目をやると、緑色の防風ネット越しに白い日傘をさしてこちらを観ている友達のお母さんが見えました。
(あれっ、入院して具合が悪かったはずなのに・・・まさか)と小母さんが幽体離脱して観に来てくれたんだと思いました。
次のゲームになったら近くにいって確かめようと思いつつ、そのレシーブゲームの最中に小母さんはどこかへ消えてしまいました。
気になってしかたありませんでしたが夜まで待って、家に訊ねとみると・・・。
友達が出てきて「久しぶりだなこの暑いのにテニスやってんの?」なんて呑気な顔して聞いてきたのでホッとしました。
てっきり僕は小母さんが亡くなってしまい僕に会いに来てくれたものと思っていたので、「それより小母さんの具合はどうなの?」と訊ね返しました。
「あー、お陰様ですっかり元気とまではいかないけどもう大丈夫だって」と言いました。
どうやらあの試合会場で観たのは、小母さんに似た人を暑さで参っていた僕が見間違えたのでした。
あれからかれこれ20年も過ぎていますが、その友達のお母さんはとてもお元気で「こんどテニスの試合を観に行くからね」と今でも言ってくれます。
未だ一度もほんとに来てくれたことはありませんが、あのときの幻がほんとのことにならないうちにぜひ観に来て貰いたいですが
僕には小学校以来、兄弟のように仲の良い友達がいてそのお母さんにも実に良くして貰っていました。
それで彼の家に遊びにいくとよく「テニスはどう、試合に出ているの?」とあまり運動で活躍しない息子の代わりを求めるかのようにそのお母さんから聞かれ「いつか試合を観に行きたいから教えてね」なんて言ってくれることもありました。
僕はその友達のお母さんがそう言ってくれたのをとても感謝していました。
そんな優しい小母さんが病気で入院されたと聞いたのは僕がよく試合に出ていた30歳の夏のことでした。
お見舞いに行かなくてはと思いつつテニスに明け暮れて、病院があまり好きではないこともあってなかなか足が向きませんでした。
電話で友達に様子を訊ねると暗く沈んだ調子で「あまり良くないみたい、特にこの暑さで弱っているよ」と答えました。
そんなやり取りをしてすぐくらいに出場したテニスの試合は真夏のうだるような暑さのなかでの戦いでした。
相手のサービスゲームで僕はレシーブの構えに入ろうとして向かい側に目をやると、緑色の防風ネット越しに白い日傘をさしてこちらを観ている友達のお母さんが見えました。
(あれっ、入院して具合が悪かったはずなのに・・・まさか)と小母さんが幽体離脱して観に来てくれたんだと思いました。
次のゲームになったら近くにいって確かめようと思いつつ、そのレシーブゲームの最中に小母さんはどこかへ消えてしまいました。
気になってしかたありませんでしたが夜まで待って、家に訊ねとみると・・・。
友達が出てきて「久しぶりだなこの暑いのにテニスやってんの?」なんて呑気な顔して聞いてきたのでホッとしました。
てっきり僕は小母さんが亡くなってしまい僕に会いに来てくれたものと思っていたので、「それより小母さんの具合はどうなの?」と訊ね返しました。
「あー、お陰様ですっかり元気とまではいかないけどもう大丈夫だって」と言いました。
どうやらあの試合会場で観たのは、小母さんに似た人を暑さで参っていた僕が見間違えたのでした。
あれからかれこれ20年も過ぎていますが、その友達のお母さんはとてもお元気で「こんどテニスの試合を観に行くからね」と今でも言ってくれます。
未だ一度もほんとに来てくれたことはありませんが、あのときの幻がほんとのことにならないうちにぜひ観に来て貰いたいですが
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