2011年05月01日
因縁の赤い椅子
腰が痛いと座る椅子を選ばないと長いこと腰掛ける姿勢でさらに腰痛が悪化してしまいます。
しかし、長く座っていても腰に負担がかからない椅子というのはなかなかありません。
わが家にある椅子のなかでは唯一まるで痛みがなくそして一日中でも大丈夫なのは、父親の形見の大きなレザー製リクライニングチェアーだけです。
そういえば今の僕と同じように腰痛持ちだった父も休みの日にはこの椅子に一日中ずっと腰掛けていました。
一度その真っ赤なレザーチェアに座るともう何もしたくなくなって、ただでさえ動かずに何でも母に用事を頼む父がさらにものぐさになるので母はその椅子のことを「悪魔の怠け者椅子」と呼んでいました。
でもそんな「悪魔の怠け者椅子」に座る父を唯一そこからアクティブに立ち上がらせたのは他ならぬテニスでした。
家の近くにある河川敷のコートで親戚が集まってテニスするようになった時に父もその重い腰を上げて参加していたのでした。
今その「悪魔の怠け者椅子」に腰掛けるようになった僕が唯一よく身体を動かすのはやはりテニスしているときだけです。
でもそこに座って家の用事をまるでしない僕は昔の父と同じですが、それを「悪魔の怠け者」呼ばわりするだけだった母と僕の妻は違っていました。
現代の妻はそんな陰口だけで憂さ晴らしするなんてことはしません。
ではどうするのかというと、腰の痛い僕がどけて片付けるのをあきらめるほどの大量の天井まで届きそうな洗濯物をその椅子の上に積み上げて座ることを阻止するのです
その乾いた洗濯物のほとんどが僕のテニスウェアなので、間違っても「こんなものを大事な椅子の上に置くなぁ」とは口が裂けても言えませんけど